この青空を君へ。
「・・・で、これがそのメモね」

そう言ってミサトは私の手の上に紙切れを乗せた。


「落ち着いてからでいいと思うけど、連絡してあげたら?」

ミサトの言葉に、私はただ曖昧に頷くだけだった。


今日はもう帰るねと言って、彼女は私の部屋から出て行ったけど、私の頭の芯の部分はまだぼーっとしたまんまで、上手く考えをまとめることができない。



(誤解って、何が誤解なんだろう・・・)



『なんでこんなんと付き合ってんのかって。』

思い出すと胸が痛い。
ケイにとって私はなんだったんだろう。
ただ便利なだけだったのかもしれない。
私には何の取り柄もないし、ほんと、なんで私なんかと付き合ってたんだろ。



暑さが少し緩んだ夕方、私は何も持たずに家を出た。

そして気がつくとあの公園の入り口に立っていた。


(ミサトにギターの人のこと、話してなかったな)


そんな事を思いながら私は彼が歌っていた場所に座ってみる。



何をすれば良かったのか
何が過ちだったのか


歌がまだ聞こえてくるようだった。
歌声はやさしく包み込むように、外灯が点り始めた公園にたたずむ私の頭の中で、繰り返し、繰り返し問いかける。



『来週の金曜日もまたここにいるから』



そして、彼の言葉が少しずつ私の中に根を下ろしていく。
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