水音
高校の時、あたしにはまだ夢中になれるものがあったんだ。

あたしは軽音部だった。

とは言っても、楽器はできないし、ボーカリストとしてはカラオケ並の腕前。

ほとんど帰宅部だった。

でも、カワイイ服や雑貨が大好きで、メンバーの衣装を選んだり、作ったり。

将来は服飾系の専門学校へ進みたかった。


もちろん、お堅いあたしの両親が許すはずなく、おとなしく地元の大学へ入った。

あたしの周りにはギャルやお姉っぽい格好をしたコが多かった。

だんだん合わせるようになって、あたしは自分の色を隠したんだ。


そして、心の中まで見失ったのかもしれない。





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