人魚と海賊の恋物語   ~恋歌~
ー…


「んっ…」


…?あたしー…


目が覚めたルカは、当たりを見回す。

ルカは、ベッドに寝ており、当たりは、1人用の小さい部屋の用だった。


今、自分がどこにいるかも分からないルカは、頭が混乱するが…
それよりも、自分の姿に驚く。

(あっ…あたしっ)

人間になってる!

「あっ…」


……えっ?


(声が…出ない?)

いくら、声を出そうとしてもルカの声は出ない。

その時、レーラの言葉を思いだす。

『大切なものを…
失うよ』


(…うそっ…)


大切なものって…

あたしの声?


「っ…」

せっかく人間になれたのに、声がでない。


その事実に、ルカは泣く事しか出来ず…



カチャ
「だからっ!ほっとけないでしょ?気絶してんのに」

「あのな…?どこのどいつかも知らねぇのに…」


言い争いをしながら、部屋に入って来たのは、ユウリとコーダ。

「あっ、気がついた…?」


(えっ?…)

誰…?

「って!その子泣いてねぇか?ユウリ…。お前なんかしたのか?」


「するわけないでしょ?船長じゃあるまいし…」


始めて間近でみる、人間を目の前に
ルカはどうしたらいいか分からず…

ただ、涙だけが流れー…


「あんた大丈夫か?…そこの海岸で倒れてたんだけどさー…」

ユウリは、ルカに声をかける。


(海岸で…?)

そっか…私、溺れてー…
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