誠に生きた少女
「この服は、洋服と言って、この時代から150年ほど後の時代で作られたものです。」
奥村の言葉に、永倉と優希は顔を見合わせた。
「えっと・・・奥村さん?話がよく分からないんだけど。」
首をかしげる優希に、奥村ははっきりと言った。
「俺、150年先の未来から、この時代に来てしまったみたいなんです。」
真剣なまなざしで、二人を見つめる奥村を、永倉は見つめ返す。
「お前は、俺たちがそんな話を信じると思ってんのか?」
「簡単に信じてもらえるとは、思っていません。だって、俺ですら信じられないんですから・・・」
永倉は、眉間にしわを寄せたまま、ずっと奥村を見つめた。
「優希、どう思う?」
「うーん・・・」
優希は、難しい顔をしつつも、永倉ほどの不快感を表してはいなかった。
「何か、先の時代からきた証拠になるようなものはないですか?」
「証拠ですか?」
「今のままじゃ、間者と疑われてもしょうがないですから…」
優希の言葉に、奥村は慌ててポケットに手を突っ込んだ。