誠に生きた少女

「とりあえず、今日は朝食を食べ終わったら、仕事の内容を色々教えてもらって。
 私は今日昼まで稽古があるからついていけないけど、代わりに総司が来てくれるからここで待っててね。」
「分かりました。」

早くこの生活に慣れなくてはいけないなと奥村が考えているとき、優希の後ろにある障子が勢いよく開かれた。

「おい、邪魔するぜぃ!」
「こら左之、お前もうちょい礼儀ってもんを知れ。」
「新八さんの言うとおりだよ。左之さんもういい年なんだし。」
「んだと、おめーは人の事いえねぇんだよ、平助。」

朝から騒がしく現れた三人組を、部屋にいた二人はぽかんと見つめていた。

「朝から騒がしくてわりぃな、奥村。」
「い、いえ。どうされましたか?」
「今日の晩、おめぇの歓迎会やるからよ!それを伝えにきたって訳よ。」

自慢げに胸を張る原田に、優希は苦笑いをこぼした。

「左之さん、朝から元気・・・。」
「あったりめーよ、優希、お前ももっと声張れ、声。」
「左之、優希とお前を一緒にすんじゃねぇ。」
「優希、昨日の遅刻の埋め合わせ、忘れないでよね。」
「わかってるよ。撃剣指南終わったら平助君のとこいくから。」

優希が藤堂の言葉に慌てて返事をすると、永倉が少し顔をしかめた。

「おぃ平助、お前「あ!!」

永倉の言葉を遮って藤堂が声をあげると、まだ食事途中の奥村を引っ張り出した。

「総司忙しいらしいからさ、俺がこいつ案内するよ。じゃ!」
「あ、こら待て!」

永倉が声をかけたときには、すでに二人の姿は廊下の角を曲がって見えなくなっていた。


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