誠に生きた少女

「極秘に任務をこなさなければならないことは、確かに事実だ。
 だが、だからと言ってここにいるやつらに話せば極秘ではなくなるかと言ったら、私は決してそうではないと思う。」

近藤の声には、いつも以上の優しさが感じ取れた。

「何も、お前だけで、零だけで抱え込む必要はない。
 今までも、何度もこう言ってやりたかった。」

近藤に続くように、土方が話し出す。

「もちろん、決着をつけるのは優希、お前だ。それが零番隊の存在意義だからな。」
「でも、それでは皆への負担が・・・。」

未だに反抗を見せる優希に、声をかけたのは永倉だった。

「優希、お前の負担を減らすのが、俺らの役目だ。迷惑とか、俺らの心配をされるほうが迷惑だ。」
「・・・永倉さん。」
「だいたいさ、零だけで何とかしようとして怪我してるほうが、俺達気が気じゃないよ。
 これで俺らが仕事に手が付かなくて死んだって、優希何も言えないかんね。」
「へ、平助君・・・。」

言いすぎだろうとも取れる藤堂の言葉に、少し呆れた優希だが、その言葉の裏には沢山の愛情があることも、きちんと分かっていた。

皆の言葉を受けて、未だに入り口に突っ立ている優希の背中を、後ろにいた沖田が軽く押した。

「優希、皆の気持ちは分かったんだろう?とりあえず、山崎君がまた張り込んでる。
 話を進めたほうがいいよ。」

沖田の言葉を聞いた土方は、事が動いたことを察した。

「優希、大方の事は藤堂と永倉にはもう話してある。総司と原田には後から俺から話しておく。とりあえず、何があったか話せ、お前の傷にも関係があるんだろうからな。」

土方の言葉に、皆の気持ちに感謝しつつ、優希は隊長としての顔に戻っていた。

「夜の見回りの件、ご報告申し上げます。」


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