Romance Cutter ―初恋の傷請け負い人 Snow Again―
ケイは、その未恋の言葉を聞き終える前に、自分の左腕を持っていたナイフで切りつけようとした…その時!


「ガシッ!」
「ああっ!」


地面にポタポタと、真っ赤な血が垂れ落ちる。それはケイの左腕からではなく、ケイのナイフを握りしめた、未恋の右手の平から。
「…な、なぜ?」
「はあっ、はあっ。…な、なぜ私の初恋の傷をその腕に刻み込もうとするの?私はまだ失恋はしていないわ!むしろ、やっと分かったこの気持ち。あなたに昨日出会って、そしてたった今分かった。
…私、あなたに一目惚れしていたんだって。だから私は今、あなたに追い詰められて、本当の意味であなたに恋をしたって自覚した。私、諦めない…」
未恋は、傷ついた右手を左手でかばいながら後ずさりする。
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