紙ヒコ―キ
彼の過去 Part 1



朝だ!と知らせる大きな音が部屋中に鳴り響いて、あたしは目が覚める。





ダルい体をゆっくりと起こす。





手を伸ばして目ざましをとめて、半分寝た状態で制服に着替える。





意識もはっきりしてきた頃、部屋を出て、リビングへと向かう。





その途中で、笑顔で映っている人の写真は見なかった事にして。





「おはよ、おばあちゃん。」





「おはよう、映未」





優しく笑うおばあちゃん。





あたたかいおばあちゃんの手料理を食べる。





――あの日から……





ずっとずっと…それが当たり前だった。





ズキッ…と胸が痛む。





いつまでもあたしが弱かったら、おばあちゃんはきっと困るよね…。





今までだって、いっぱい迷惑かけちゃったもんね。





あたしを守ろうと、いつも頑張って来てくれたおばあちゃん。





そんなおばあちゃんに、あたしは恩返しが出来てない。








< 87 / 275 >

この作品をシェア

pagetop