空き瓶ロマンス
 


そして、


「兄さんこそ……」
 

お返しとばかりに、みちるは宗太の目を指差した。
 

宗太も、赤い目を隠すように、


「馬鹿、俺のはただの寝不足で……」


「それにしちゃ、随分涙出てるみたいだけど?」


みちるはティッシュを差し出しながら、意地悪く言った。


「るっさい、お前も使いな。鼻でてる」


「出てない。ていうか、兄さん泣き過ぎ」


「泣いてない。これは心の汗だ」


「どっかで聞いたセリフだな、それ……」


「名言中の名言じゃん」


「あつくるしい」
 

お互いに抱えていたものを全部吐き出して、最後は笑った。


「暑苦しい、って何さ」


「発想がガキ大将なんだよ兄さんは」


「訂正しろ」


「むさい」


「こいつ」


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