空き瓶ロマンス



ちょっとだけ胸を張って、ちょっとだけ背伸び。


そんな気持ちが伝わったのか、いつも通りにメールをして、それが電話になって、


去年だったら想像もしていなかった、『クリスマスの約束』なんてものをした。


人生で、初めてだ。


家族以外の人と、クリスマスに会うのは。


しかも、今年は二十四日が終業式で、二十五日から冬休みに入る。


言い方は悪いが、夜遊びにはもってこいだ。


しかし、そんな素敵な約束をしたにも関わらず、暗い気分を引きずっていた私である。


みちるは、この陰気を吹っ飛ばそうと、景気づけにクレープを奢ってくれた。


「……この前、面接行って、受かったよ。ロージー」


「おめでとう。宗太君、びっくりしてたでしょ」


「うん、『げぇー、お前が来んの!』って」


「はは、なんか、想像つく……」


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