年下の王様
いつもニコニコしてる片桐君。



本性はきっと誰にも見せないタイプ。



「時間余っちゃったね…」

「陽菜ちゃんは気にしなくていいから。アイツ、昔からあんな感じだし」

「アイツって…お母さんでしょ?」

「本当の母親はもういない。俺は親父の愛人の子供」



そんな生い立ちだったなんて知らなかった…。



いつも笑ってるのに本当は孤独なんじゃないかな…。



「お家には帰らないの?」

「帰んねぇよ~。帰るくらいなら体売ってでも一人暮らしする」

「そんなこと言わないでよ…」

「まぁ似たようなことはしてるかな?聞いてんでしょ、斗和から」



ホストだってこと?



バレたら退学になっちゃうのに…。



「陽菜ちゃん、俺は陽菜ちゃんの秘密を握ってる。だから言わないよね?陽菜ちゃんもバラされたら困るでしょ」

「それは脅迫って言うんだよぉ~…」

「あははっ!!ごめんごめん。俺は言わないけどさ」



あたしも言わない…。



絶対言わない…。



< 168 / 549 >

この作品をシェア

pagetop