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序章  運命

舞い降りた 歌姫

「イタリア旅行!?」

「そうなの!商店街の福引きでね、
お母さん一等が当たったのよ~♪」

何時も通りの休日を過ごしていた私に、

興奮覚めやらぬ状態で母が見せてくれたもの。

それは紛れもなく

イタリア行きの航空チケットだった。

「ほらね?ホテルの宿泊チケットもちゃんと
付いてるんだから~♪」

「す、凄い!!我が家ってくじ運とか全く
無いと思ってたよ、私」

「お母さんも驚いちゃった♪それでね、
お父さんはお仕事で行けないと思うから
梨加ちゃん一緒に行きましょうよ」

一般家庭より少し貧しい家庭で育った

私にとって、海外旅行など夢のまた夢。

この先こんなチャンスが巡ってくる可能性は

ゼロに等しい

私は迷わず頷いた

「楽しみね梨加ちゃん」

「うん!!」

初めての海外旅行に浮かれる私だったけれど

この“突然舞い込んでいた幸運”が

後に自分の運命を大きく変える大事件に

発展するとは・・・

この時の私には想像すら出来なかったのだ。

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