ココロ


「…俺さ。ぶっちゃけ姉ちゃんがあの別世界なお嬢様学校に行ってくれてホッとしたんだよ」
「…お前マジでシスコンね。かなり報われてないけど」
「放っとけし」





確かにいくら穏健派だとか迷惑はかけないだとか言っても、所詮オレは不良だから。
喧嘩は好きだし馬鹿な奴らと騒ぐのも好き。

だからもしかしたら俺のせいで姉ちゃんに迷惑かけるようなことだってあるかもしれない。
それ以上にもし怪我なんかさせたら、なんて考えたくもない。





「だからホッとしたよ。桜ヶ丘なら危ない奴もいないし、変な噂だって届くようなこともないじゃん」
「まーね。」


南がフ、と笑って答えた。







「裕也って馬鹿そうに見えていろいろと考えてんだもん。俺そういうとこ好きよ」
「俺も数秒前お前に対しておんなじこと考えてたわ」
「はは!」


たとえ血が繋がってなくても、いくら姉ちゃんに嫌われてたとしても、周りの奴らにシスコンと笑われたとしても。
俺はただ姉ちゃんを守りたい。
ただそれだけだった。







「さーて、着いたぞ」
「あいつらどこ?」
「非常口の方って聞いたけど…移動してっかな」


南が自転車を止めたのは、後輩達が揉めてると情報の入った駅裏にあるゲーセン。
ここには市内のいろいろな中高生達が集まるため、かなり無法地帯な場所となっていた。





「行くか」
「はいよー」


気持ちを切り替える。
ここから先は、決して俺と姉ちゃんが混じり合うことは出来ない世界なのだ。







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