幼なじみ


4本目のさつえいが始まる前、ユイがスタジオにきた。
「ユイちゃん、こんにちは」
「こんにちは」
幼なじみってことは公表してないし、まだデビューしたばかりだからってことでちゃん付け。



「ユイちゃんは次撮影?」
「今撮影多い時期でスタジオ混雑してるから同時撮影なんだって」
「そうなんだ。お互いがんばろ」
「うん」
なんかこのはなしかたキモい。
「涼ー始めるぞ!」
「はい!じゃあねユイちゃん!」
あーキモい...。



「涼ーこっちとこっちどっちがいい?」
「あ、俺こっちのは好きっす」
初めて求められたいけん。
微妙に俺の目線が違う2枚の写真。
こんな細かいとこまで...いや、むしろ細かいとこが大切な仕事なんだ。



早めに終わった俺はユイの撮影を見学中。
ユイは高校生雑誌の撮影で、5人ぐらいの女子と一緒だ。
でもユイがずば抜けて可愛い。
「お疲れ様です」
「ユイちゃん今日の良かったよー」
「ありがとうございます」



「優衣。かえろ!」
「涼、おつかれさまっ」
雑誌4本のすごさとかわからないしあっという間だったけど...
やっぱり4本は疲れる。
今になって疲れを感じた。
笑顔ふりまいて、考えながらポーズをとる。
決して楽な仕事ではない。



「今日の涼マジかっこよかった」
優衣に褒められるのが一番嬉しい。
「優衣もかわいかったし」
今日は素直になってみた。
「涼、もっと人気になっちゃうね」
「そんな...優衣こそもっとモテモテじゃん」



だよな。
もっともてたら...俺一緒にいられねーんじゃね?
彼氏できたら幼なじみもねーじゃん!
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