好きすぎた、たぶん。


「あ、いいよ。この辺で。」


「え、ここ?」


「うん。ちょっと寄ってくとこあっから。」


「あ、そう。停めれそうなとこで停める。」



俺らの生まれ育った街から潤の運転で東京に戻ってきた。



家まで送ってってくれるつもりだったらしいけど、違うところで降ろしてもらった。



田舎に帰ってあの頃の自分が見えたところで、もう一回会おうと思った。



あの頃の自分に。



あまり思い出したくない自分ではあるけど、そうすればもっと夢みてた気持ち、思い出せると思って。



勇気が持てる気がして。



潤の車を降りて、少し歩いてデカい高層マンションに向かう。




< 321 / 880 >

この作品をシェア

pagetop