好きすぎた、たぶん。


俺が生まれ育った街は、東京からそれほど遠くもなく、それほど近くもない微妙な場所。



方言が特にあるわけでもなく、たまーにイントネーションが違うところがあるかないか。



そんな街に住む人間は、東京に憧れる傾向があった。



っつっても全員が全員そうなわけじゃない。



こういう俺も、正直全く憧れがなかった。



俺の家族自体が、東京に憧れることもないふっつーの家庭。



親父は一流でもない会社に勤めるサラリーマンで、おふくろは昼間に近所のスーパーでパートをしてるどこにでもいる母親だった。



親父の給料も中の中で、見事にザ・普通の家庭だった。



俺が小学校1年生までは。



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