宛て名のないX'mas
裕美の心の中に亮太が溢れて、何も見えなくなった。
(やだ、何でアイツの顔が…)
観覧車の列は次第に短くなり、もうすぐ二人の番だ。
孝志は、ムードを壊すことなく、ずっと強く手を握っている。
(何、今更、気づいてんの、あたし…)
「次の方どうぞ」
(あたし…)
「裕美ちゃん、じゃ、乗ろっか」
(あたし、亮太が好きだ)
「先輩っ、あたし、やっぱり…!」
孝志が観覧車に乗り込み、裕美が入るのをためらって、孝志の手を振り払おうとした、
その時だ。