雨のち晴れ模様。
■□嵐前の晴れ間。□■

《愛葵》

入学式も無事終わり、今は部活見学中。

私は同じクラスになった笹橋小の鳴海伊舞姫(なるみいぶき)と校庭を歩いていた。

「あ、陸上部やってる~!!天だ!!」

「…天?」

「あ、今は天先輩かな?私の幼なじみなんだ♪」

「そうなんだ…」

なんでだろう。
胸が痛い。

「天先輩、カッコいいなぁ…」

「だね…」

「私、陸上部にする!!愛葵も一緒にやらない?」

「え!?」

「うん、そうしよう。決まったね!!」

「は!?」

「良いでしょ~…」

目を潤ませて懇願する伊舞姫。
かっ可愛い…

「分かったよ…」

「やった~!!じゃあ愛葵に誰にも秘密なこと教えたげる!!私天先輩のことが好きなんだ…」

チクンチクン。
また胸が傷みだした。

私はどこかで、伊舞姫が、天先輩のことを憧れ止まりでいてほしいと思っていたんだ。

「協力してね♪」

可愛い笑顔で言う伊舞姫。

「うん…」

私は苦笑いで答える。


なんで?
なんでこんなに胸が痛むの?

私は自問自答を繰り返す。

これじゃまるで天先輩が好きみたいだ…

「愛葵?どうしたの?」

いきなり声をかけられ、ハッとする。

目の前に愛梨がいた。

「大丈夫?」

「あ、うん…」
< 20 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop