らすとらいぶ

「女だけじゃ無理がある」

CDショップのエプロンを身にまとい、先ほど伸ばした両腕を胸元に引き寄せながら言った

目の前には暗闇に向かって消えてゆく階段
その手前にあるのが千恵と敦子の頭だった

堀口は一足先に就職し、敦子は専門へ進み、千恵と潤が大学生となった今
制服もなく、しかし喪に服するには暗すぎるというこの状況から、学生である三人はスーツに身を包むことを決めた

四人は各々微妙に違った花束をしっかりと持ち直し、慎重にその階段を下っていった

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