花歌―ハナウタ

突然の別れ

しばしの沈黙。



あたしの泣き声だけが、静かな部屋に響いてる。



『いつまでも泣いてんじゃねーよ!』



沈黙をかき消すかのように龍司が怒鳴った。



だって、
龍司があんなこと…



どうしろっていうの?



気持ちってそんなにすぐ変わるの?



龍司のこと、
受けとめて、理解してこうって思ったのに。



わけわかんないよ!!





龍司は無表情でこっちを見てる。



最初に出会ったときの龍司だ。



すごく、



すごく冷たい目…



『おまえ、浩樹とヤッたの?』



突然に龍司が言う。



龍司、本気で言ってる?
…疑ってるの…?



『そんなこと、するはずないよ!無理矢理されそうにはなったけど…
絶対してない!』



『…ふーん。やっぱね?
ま、どーでもいいけど』



『信じてないの…?』     


『信じるわけねーだろ!
お前も乗り気だったんじゃねえの?』



『ひどいよ龍司!』



『何が?つーか、気持ちよかった?』



『……!?』


あまりのショックに、

言葉が出てこない。



『気持ちよかった?』



さらに追い打ちをかけてくる。



『…ヤッて…ないって…言って…るのに…
龍…司…ど…して…?』



涙で言葉がとぎれる。



『お前なんでそんな泣くの?俺のこといやだったんじゃないの?』



『…それは…最初は…怖かった…けど…今…は…龍司のこと…ほん…とに…好き…なのに…』



『そんなのわかんねぇよ!どうせお前も…!!』



そこまで言うと、

龍司は口を閉ざしてしまった。






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