花歌―ハナウタ



『お前なんで、ここで働いてんだょ』




『……』




そのとき、
『お客さま…』



龍司の肩に手がかかる。



そこには林田さんがいた。



『あ?なんだテメェ…』



龍司がドスのきいた声で振り返る。



ヤバい!
林田さん、殴られる!



『龍司!』




とっさに龍司を止めに入る。




『…うるせー…どけ……』





『こんなとこでやめてよ
龍司!

何がしたいの?なんでこんなことすんの!?』




『………クソが!!』









その瞬間、あたしは龍司に張り飛ばされた。



一瞬、店の中のざわめきが消え、



目の前が真っ暗になった。





みんなの視線が
いっせいに集中する。





『…大丈夫か?』



林田さんがとっさにあたしの手をとる。




『だ…大丈夫です!』




あたしは林田さんの手を振りはらってしまった。
龍司を怒らせたくなくて。


あたしはそのまま、
店を飛びだした。





そのあとから、




龍司は追いかけてきた。








最低だ



もう仕事、
戻れない。




最初に
龍司に連れていかれた日と同じ。





あたしは龍司の車に
乗っていた。








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