甘い声で囁いて


いつもみたいに


「最低!」って


「バカ!」って言ってやらないと。



「柚子さん、ありがとうございました。何だか話してスッキリしました」


笑顔で言うとドアを自分で開けて車から出た。



「あたしは何も役に立ってないし、みゅうちゃんがそれで元気になったのなら
いいかもしれないけれど。でもね、みゅうちゃん」


少しだけ悲しい顔をした柚子さんはあたしの手を取ってぎゅっと握った。



「たとえ今逃げていたって、絶対にそれと向き合わないといけない日が来るんだよ」



柚子さんまで...


「それだけは絶対に忘れないで。じゃないと..あたしのようになってしまうから」


「柚子..さん」


「お互い、頑張りましょうね」


「はい!ありがとうございます」



それじゃあ失礼します、深くお辞儀をしてあたしは家に帰る道を歩き出した。



「逃げちゃ、駄目、か。あたしももっと頑張らないといけませんよね」


「はい、まずは翔様と話ましょう」

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