不思議の国のお伽噺。



私は、チェシャ猫の後ろで眠る、姫に歩み寄る。


…本当に、一瞬たりとも動かない。



「チェシャ猫、彼女は本当に生きてるのよね?」



「うん」




チェシャ猫を見れば、ニンマリ顔でこちらを見つめていた。

はっきり言って、今の言葉が真偽である確証が得られない。



「…息、してるのかな。」



私がつぶやいた一言は、静寂に包まれて消えた。





「明後日、かな。」



「へ?」



チェシャ猫は突然つぶやいた。




「おいで、アリス」




チェシャ猫に手招きされて、私はついていった。
















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