不思議の国のお伽噺。



眠り姫は、顔を伏せ黙る。



でも、そのすぐ後には、



「だからね?」



顔に笑顔を浮かべた。
妖笑という単語が一番似合っている。



「私が王子様を作れば良いと考えたのよ。


そうでしょ?

私のもとに現れる人を自分で作れば良いの。ふふ。

だからね、素敵な人の素敵な部分だけ貰ってきた、つまり、素敵な部分以外は要らないから殺してきたのよ、ふふふふふ


でね、この人が最後なの。


素敵な性格を持った人、素敵な人。



だから、ここの主人の心臓を貰ってきた、心臓は心。


心とは性格。


ここの人の心臓を貰えば、私の理想の人が私を目覚めさせてくれる


素敵、素敵素敵素敵素敵ステキ…


そうでしょう?

すてきでしょ!?

ううん、



ステキなのよ!!!!」





血だらけの手を見つめる。

瞳孔を開き、手を見つめて。
自分は正しい、と言い聞かせるみたいに叫び狂っていた。


見て、いられない。
貴女を、私は、止めたいの。








これ以上の、無駄な、人と心の殺戮から。












「…むー…」



「ヤ、メテ…アリス」



「むぅっ…!」



「来ないでよ…!!!」









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