不思議の国のお伽噺。



「アリス、ここはね

迷いの森とゆうんだ。」



「迷いの森?」



…てかあたしにとっては、森って全部迷うイメージなんだけどな…。



「ここは普通の森とは違うんだよ。

ここの森はね、


幻覚が化けて、化けた自分を見せて人をさ迷わせるんだ。そして幻覚が迷わせた人を喰おうとしてるのさ。


人間になろうとしてね…」



だから、と話を続けるチェシャ猫。

森を歩いてたり、見たりする限りでは、そんな恐ろしいことが起こるだなんて誰も思わないだろう。
私も外で待ってるとき、そんなこと思わなかったもん。
だって、見た目は普通の森と何ら変わりはないのだから。


さっきの出来事を経験していた私は、普段なら信じないような話をすんなり受け入れ、チェシャ猫を見て、微笑んだ。



「分かったよ、チェシャ猫。」



「そう、よかった。


あ、アリス…見て!」



「?」



チェシャ猫が指を指すところに、人がいた。



…誰だろう?
















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