不思議の国のお伽噺。



ピンポーン



大きな屋敷に、チャイムが鳴り響く。
しーちゃんは、タバコをくわえたまま、面倒くさそうに玄関まで向かった。



「あいよー、誰だァ…――――ッ!?」



ドアを開け、上を見上げると、そこには、

あの日であった王子様がいた。


私は影からこっそり見ていたけど、しーちゃんは、真っ赤になってタバコを落としてた。



「――――…フッ、見つけた」



「え?」



「…失礼するぞ、ここの主はどこにいる?」



王子がボソッと呟いた一言は、しーちゃんには聞こえなかったらしい。



「あ、今すぐ呼んでくる!」



しーちゃんは、踵を返しておばさんの部屋に向かった。








「オラクソばばァ!
客だぜ!」



「く、クソばばァですって!?
ま、まァいいわ…すぐ行きます!」







しーちゃんは、広間に戻ると、王子様を見て目を点にした。



王子様は、ドアに寄っ掛かり、しーちゃんの落としたタバコをくわえていたんだ。



「…お、お前…それ…「はいはい、どちら様…

って、あァっ!?
貴方は?!」



しーちゃんが喋ろうとして、それを遮ったのはおばさまだった。




「あぁっ!!どうしましょ!!」



うろたえる、おばさん。
すると、王子様は、タバコを消し、ポッケに入れる。
そのままおばさまに跪いた。











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