幼なじみは年の差7歳【完全版】
13、変わらない景色


――……。


その年の4月から、私の口座に毎月3万円ずつ振り込まれるようになった。

…九条さんから示談金を受け取る為に作った口座。
示談金が私の口座内を占めている、はずだったんだけど…。


(…3万って、あの時私が言ったからだよね)


振り込んでいるのは冬馬兄ちゃん。
毎月1日、3万円ずつ…。

“掃除代は時給3万円ね”

あの言葉は、ただの冗談だったのに。


…私の口座番号を教えたであろう人物…お母さんに問いただしたら、冬馬兄ちゃんが行ってしまったその夜に電話が来て教えたらしい。
やっぱり私があんなこと言ったから、振り込んでくるんだ。


「貰っとけば?
美和が掃除してるのは事実だし、バイト代ってことだもん」


相談した相手、麻実ちゃんはあっけらかんとしている。
その隣に居る良明くんも同じように頷いた。


「冬馬さんって律儀だよなぁ。
一応、連絡してみたら?
受け取りたくないならそう言えばいいわけだしね」

「…うん」


冬馬兄ちゃんとの連絡なんて、ずっと取っていなかった。
だけどお金が絡んでることだから、いつまでもこのままというわけにもいかない。
それに…。


「…誕生日に、花も貰ったんだよね」


花を受け取ったから、私も簡単なものだけどプレゼントを贈った。
でも、別れているなら…こういうことはしない方がいいんだよね、きっと。


「…メールしてみるね」


携帯を開き、冬馬兄ちゃんへとメールを送信する。
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