依存~愛しいキミの手~
4人で階段を下りて行く度に心臓の鼓動が早くなっていった。


昇降口に着いた時には、車のウーハーのように全身に鳴り響いていて、鞄を掴む手に汗が浮かんでいた。


「どうしたの?」


ゆきが私の肩を叩き、私は大きく肩を揺らした。


「え…あ、いや…。って、あれ?茜と知美は!?」


昇降口を見渡すと2人の姿が見えない。


「あすかがタラタラしてるから先行っちゃったよ(笑)」


呆れるようにゆきが笑い、私の下駄箱からローファーを出してくれた。


うわー、まじ緊張しすぎてる。ヤバい…。


「じ、実はさ…圭介が来てるんだ…」


ばっくんばっくん鳴る心臓が痛くて、ギュッと押さえながら言った。


「え!?まじ!?早く行こうよ!」


そう言ったゆきの言葉も、緊張を収めるのに必死で聞こえなくなっていた。


「さっき話したからか、ヤバいくらい緊張しちゃってる…」


独り言のように呟く私。


「あっ!!!」


ゆきの驚く声がしたが、それどころじゃない…。


こんな緊張したまま圭介に会えない…。


そう思った時、頭をぐしゃぐしゃっとなでられた。


!?


勢い良く顔を上げると圭介が笑って立っていた。


「なっ…!?」


驚きすぎて言葉が出ない変わりに、圭介がぐしゃぐしゃにした頭に手を当てた。
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