依存~愛しいキミの手~

ワクワク

「だいたい江ノ島かな?新宿から1本で行けるからさ。去年は優とバイクでしょっちゅう行ってたよ。やっぱり夏はギャル男復活だな(笑)」


「禿げるよ(笑)てか、パンチ復活しなよ(笑)」


ケラケラ笑う私。そんな普通に話せる自分に驚いた。


「てか、ともさん一緒だろ?大丈夫?」


圭介が気を利かせてくれた。


「今お客さんと電話してる」


私がタバコを指ではじいて川へ飛ばした。

「そっか。…テストどうだった?」


「昨日優が多分ここでるよって教えてくれた所が本当に出たの!おかげで答案一応全部埋めれたよ」


私がテストのことを思い出し話した。


「良かったじゃん、明日からも頑張れよ」


優しい声が耳に響いた。口元が緩む。


「あ、俺今日イベントの買い出しと同伴で早く出なきゃなんねーんだ。悪りぃ、もう切るな。また連絡する」


「分かった。頑張ってね」


そう言って電話を切った。

口元がにやける。


顔が緩みっぱなしになっちゃう。


本当に本当に、圭介が好きだ。


春子さんに勝つか負けるかじゃなくて、圭介の歩く道に自分の足跡をゆっくり1つずつ残して行けばいい。


圭介の中で私の存在が大きなってくれたら、それでいい。


キスの理由は知りたい。でも、それは今じゃなくていいんだ。今は、もっと圭介の笑顔を見たい。もっと色んな圭介を知りたい。


色んな私を知ってもらいたい。お互いの道にお互いの足跡を刻んで行くのが、今やるべきことなんだ。


川の柵に肘をつき、夕日に照らされながら電話をする知美を見て、ありがとう、と心の中で呟いた。
< 211 / 441 >

この作品をシェア

pagetop