依存~愛しいキミの手~
「圭介くん代々木に住んでたんだね…。全然知らずに、お客さんとの待ち合わせで駅にいたら偶然会ったの…。
私、携帯変えてたし、あすかが別れてたのもあって圭介くんたちに戻って来たこと言ってなかったんだよね。…すごく安心された…」


私はただただ驚くことしかできず、言葉が出なかった。


「今も変わらずお店で頑張ってるみたいよ、圭介くんも優くんも美香ちゃんも」


久しぶりに聞いた懐かしい名前…。


胸が締め付けられてく…。


「…あすか…どうしてるか聞かれたよ…」


その言葉を聞き、一気に涙が溢れ出てきた。


胸が苦しくて、うずくまって泣いた。


「答えに困ったけど、あすかなりに頑張ってるよって言っておいた。…圭介くんすごい優しい笑顔したから、…私泣いちゃったよ…」

知美の声が震える…。


「あの時支えきれなかったこと、すごく後悔してる…って…あすか…のこと本当に心配してた…」


知美が嗚咽混じりに、声を震わせて話してくれた。


膝にうずめた頭の中は、圭介との思い出で埋め尽くされる。


圭介に今すぐ会いたい。


優しい笑顔が見たい。


また、頭をなでてもらいたい。


優しい声で名前を呼んでほしい。


流れる涙と一緒に、ずっと封印していた圭介を愛してるという気持ちが溢れ出して止まらなくなった。


…ねぇ、圭介。私、頑張って変わるから、その時は会いに行ってもいいかな…
< 346 / 441 >

この作品をシェア

pagetop