依存~愛しいキミの手~
「夢見てただけなのかもしれないけど、そのことがあってから、私春子さんに対して嫉妬心なんてなくなったんだ。ただ、ありがとうって気持ちがあるだけ」


そう、本当にその気持ちだけ。


圭介に出会わせてくれてありがとう。


あの時、私に会いに来てくれてありがとう。


私を圭介の所に連れ戻してくれてありがとう。


醜い嫉妬心をなくしてくれて、ありがとう。


それから、圭介が1つ1つ箱の中身の思い出を話してくれた。


聞いていくうちに、不思議と心が穏やかになっていった。


あの時、こうして圭介に肩を抱かれながら説明されても、きっと受け入れることは出来なかっただろう。


今だから受け入れられる。


今だから、圭介の思い出を知りたいと思えたんだ。


圭介の過去全部を知れた気分だった。
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