依存~愛しいキミの手~
落ち込みながらも時間は過ぎて行った。


ある日、知美のおばさんから渡したい物があると銀座の知美の家に呼ばれた。


部屋に入ると、遺品の整理をしている両親がいた。


「あすかちゃん、辛いのに来てくれてありがとう」


そう言ったおばさんの顔はやつれて、腫れている目からは涙が流れていた。


「遺品を整理しててね、私たちが持っているよりもあなたに持っててもらった方が知美が喜ぶと思った物があって…」


そう言いながら、痩せ細った手でダンボールを2箱私に差し出してきた。


開けて中を見ると、ダンボールいっぱいになる大学ノートだった。


「知美の日記なんだ。それと、これ…」


おじさんが小さな紙袋を渡してくれた。


「知美とりょうくんの指輪なんだ。その写真の前に飾ってあった…」


おじさんが涙を手で拭い言う。


紙袋の中にはここに越してきた日にテレビの上に飾った写真と、指輪が入っていた。


私は知美とりょうちゃんの優しく幸せそうに笑う顔を見て涙が溢れた。


「こんなだらしがない親の元に生まれたのに、幸せだと言って死んで行ったのはあなたたちのおかげよね。本当にありがとう…」


おばさんとおじさんは床に手をついて、私に頭を下げる。


「私、知美がご両親の悪口言ってるの聞いたことないんです。…きっと、私と知り合った時にはご両親のこと許していたんだと思いますよ」


そう言うと、知美の両親は声を上げて泣いた。
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