依存~愛しいキミの手~
ビルの地下にあるお店に入った。


入口には大きな水槽があって、魚がたくさん泳いでいる。


「お、圭ちゃんいらっしゃい」


店員さんと圭介が仲良さそうに話している。


「中学の同級生の健ちゃん。ここでバイトしてんだ。こいつ、あすか。昨日美香がナンパしたの(笑)」


ぺこっと頭をさげ挨拶をかわした後、奥の座敷になっている個室に通された。


サンダルを脱いで上がると

「お前こんな小さかったの!?」


と、圭介が驚きながら私の頭手を乗せた。


向かい合わせに座り、メニューを開く。


あ…天ぷら屋さんなんだ。


「ここ、天ぷらもうまいけど、刺身もうまいよ」


そう言って、健ちゃんがお絞りを渡してくれた。


「適当に頼むけど、何か食いたいのある?」


そう言われてメニューに目を通し


「生と、茶碗蒸し」


と、答えた。


圭介が他に適当に頼んでくれた。


タバコに火をつけるタイミングがかぶり、何かこそばゆかった。


「…そういえばさ、美香に聞いたんだってな」


圭介がテーブルに肘をつき、手で頬を支えた。


?


タバコを灰皿に置き、立ち上る白い煙りを見つめる圭介。


儚げな表情がすごく綺麗だった。
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