また、いつか
本と女の子

数日後、僕は怪我のリハビリをした後、病院の中庭に散歩に来てみた。正直あんまり乗り気ではなかったけど、病室にいて引き込もるよりは、ましだと思った。

母さんが持ってきた本を病室から一冊持ち出して、木陰でゆっくり読もう。そう思って松葉杖を取り出し、歩いて歩いて木陰に着いた。病院の庭は、広かった。

木陰のベンチに座ろうとして、とても近くまで行って気付いた。そこには僕と同じくらいの歳の少女が一人、座って本を読んでいた。

(先客がいるなら、どうしようかな…)

下らないことを思っていたら、彼女はこちらに気付いたようにぱっと顔を上げて、僕に微笑んで手招きした。

(こっちへ来て)

少女の幼さが残る顔の口元が、そう呟いた気がした。恐る恐る近付いて、隣に行って挨拶を交わす。

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