雪の種




「…――あたしね、小学4年生の時に遊園地の帰り、両親を事故で亡くしたの。その後、なんの罪もない友達のこと責めちゃったんだ。―その子さ、心臓が悪くてその日から入院して最後は死んじゃったの…――。あたしが殺したようなものなのよ。…あたしはね、人と関わることが怖いの。関われば関わるほど隠してた何かが見えてくる。人の心を一瞬にして枯れさせる様な言葉もある、全部が怖いの。今だってあたしと亮君の間には見えない分厚い透明な壁がある、あたしの花は咲かない花なんだよ―――……」


そう、咲かない花なの。

何色の花びらでどんな香りがするのか、そんなの誰も知らない。

病気にかかった花はただ枯れないことを祈るだけ……。










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