雪の種
もう辛い思いはしたくない。
「行ってきます、香子さん!」
まわりは草っ原、えーと、小羽根中は確か…、
「右…?」
「左だよ、翼」
「亮…くん?」
指をさした方向とは逆に微笑む君がいた。
「場所わかんないっしょ?よければ連れてくよ?」
確かに…わかんない。
でもあたしが亮君に頼ったら、あたしはまた…。
「俺は、いなくならないから」
それは君の優しさだったんだよね?
あたしを迎えに来たのもそうでしょ?