【X'mas】百合色をした薔薇の歯車/GIADOOLⅢ
2.ギア・ドール
「お帰り・・・どうだったかね?久々の休暇は?」


 結局、舞鶴と分かれたあとも、自分は何件も百合の花を探してみたが、結局見つけることができず、無碍ともいえるような休みを過ごして、俺は自分の宿舎が待つ基地に戻ってきた。


 出迎えてくれたのは、この基地の中でももっとも会いたくない顔の一人。


 ドクターだった。


「別に、特に何もありませんよ。」


 ごまかしたのではない。


 本当に、何もなかったのだ。


 色々したいとは思った・・・。


 だけど、結局具体的に何がしたいのかまとまらないまま、何もしないで戻ってきた。


 それが、事実だった。


「そうか・・・若いのに、もったいないの・・・。」


 老人は、ふぉっフォフォフォ・・・と不気味な笑い声を上げると、ポケットからタバコを取り出し火をつける。


 一息ついて・・・。


「そういえばの・・・キリト、お前の可愛がっていた『YURI』という人工知能・・・ギアへの正式搭載が決まったぞ。」


「!・・・なんだって!」


 冷静さを保っていられる言葉ではなかった。


 何を言いたすんだ、コノ老人は・・・。


「お前さんが、休暇を取っている間にの・・・上層部が決定したそうじゃ。一応、テストパイロットとして、お前を推薦しておいた。あれの担当責任者はお前じゃからな。あとで、上から正式通知が届くと思うぞ。楽しみに待っておれ。」


 そういうと、老人はまた、フォッフォフォフォと不気味な笑い声を上げてどこかに立ち去っていってしまった。


 冗談・・・。


 鈴蘭先輩の大失敗が起こってからまだ、半年だぞ。


 まだ、正確な原因も改善案も出ないというのに・・・・・。


 同じ過ちを繰り返そうというのか、上層部は・・・。


「腐ってる!」


 そんな言葉以外、キリトの頭の中に思いつくものはなかった。


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