スタッカート
「ビビった…。まさか、そう来るとは」


「でも、お父様には反対されるからジャズ科受けるとは言ってなくて」


「親父さん、製薬会社の社長だっけ」


「そう。一度話したことはあるんだけど、ジャズなんて私がやるものじゃないって言われちゃって。昔からそうなの。私の習い事とか着る物とか全部お父様に決められちゃって。音楽も、本当はピアノとかバイオリンをやらせたがってたんだけど、無理言ってなんとかサックス持たせて貰ったんだ。じゃないと自分が消えちゃいそうで」


「親の反対か。俺と同じじゃん」


「うん…」


だから話せた。


私を分かってくれるんじゃないかって。
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