いつかの花火【企】
雨の唄
「お先に失礼します。」
「はい、おつかれー。って最近、立川上がるの早くないか?」
「そうですか?失礼します。」
何か話がしたそうな上司を振り切り退社。
付き合っていたら、また彼に遅いと文句を言われてしまう。
あの花火の日から毎日一緒に屋上でビールを飲むのが日課になってしまった。
もう一週間は経つ。
彼の理由や目的に最初は悩んでいたけど、気にするのをやめた。
どうやら気にするだけ無駄みたいだし。
人と飲むのは楽しいので、それで良しとした。
「あ………。」
会社の入口に立つと、外は雨だった。
そういえば天気予報も今晩は降ると言っていた。
しばらく雨が降っていなかったから、今日はここぞとばかりに降っている。
仕方なく折りたたみ笠を広げ、外に出た。
あれ…?
そういえば、雨だと屋上出れないよね?
今まで晴ればかりだったから屋上に来ていた彼だけど、雨の日はさすがに来ないだろうな…。
って…私なんかガッカリしてる…?
別に今までも一人だったから変わらないはずなのに、一人なんだと考えただけで少し寂しくなった。