いつかの花火【企】



「…これは?」

「…だからお土産。いらなくても貰ってね。」

やけに念を押す彼。
なんなの…?

桜色の包装紙を開くと今度は優しい夜みたいな色の箱。

箱のフタを開けて中を見るとそこには朝のさざ波みたいな色の細い指輪が入っていた。

「…これ?」

「ん?涙のイメージ。」

「や…そうじゃなくて…指輪?」

「腕輪に見える?」

「……。」

指輪って特別なものに…
男性は考え方が違うのかな…?
意味はあるの……?

「涙、手出して。」

「え…?」

慌てて右手を出す。
付けてくれる…とか?

「違う反対。」

「え?!」

「もう…涙遅い。」

彼は強引に左手を取って、指輪を私の薬指にはめた。
しかも何故かピッタリ。

「…これは捨てないでね。」

彼は笑顔でそう付け足した。
私は指輪を眺めたまま。





「…じゃぁね、涙。」

「え…?」

しばらく沈黙の中。
彼が急にそう零した。

顔をあげるともう後ろを向いて歩き出している。


私、このままでいいの…?



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