キーホルダー
第1章 ありえない恋の始まり
恋華美流(れんげみる)、15歳。



初めて美流の苗字を見ると、十中八九“れんか”と読む。


恋華と書いて、“れんげ”と読むのはなかなか珍しい。


「美流~。」



自分の名を呼ぶ友達の声に振り向くと、瞬と目が合った。




将希瞬(まさきしゅん)、14歳。





瞬を一言で言うと、ただのバカだ。






「あれ~?代理委員長じゃん。」



瞬は、美流を見つけると笑顔で言った。



「何だよ、将希か。」


内心喜んでいた美流は、そんな自分の気持ちを殺して、あからさまに落ち込んでみせた。


この時から美流の中に瞬はいたんだ。



でも、ドキドキしている自分に気づいていながら、それを恋だと認めなかった。



それは、あの時誓ったから。



“もう恋はしない”と……




だから、好きだという気持ちをずっと殺して生きてきた。




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