傷恋(キズコイ)
どのカレシも反応は大なり小なり同じ。

ポカンと口を開けて私を見つめて一瞬言葉を失う。

もちろん友人がそれを不快に思わない訳がない。

私にカレシを奪われるかも…との強迫観念にかられるのか、私と距離を開けていく。

それを何度か繰り返す事により、私も学習した。

カレシのいる子には関わらないでおこうと。

私の隣のこの子。
ちょっと私と似た感じがしたのに残念だな。

この講義の最中、私は先生の話より結衣の事が気になっていた。




講義が終了し、次の講義へと移動しようとしていた私に結衣が声をかけてきた。

「この講義、女の子少なかったね。ちょっと驚いちゃった」

華やかな笑顔に私も自然に笑顔が浮かんだ。

「そうだね。女の子向けじゃないのかな?」

「かもね。あ、私、神崎結衣。全然知り合いいないしちょっと心細かったんだ」

「私、柏木純。少ない女子同士、よろしくね」

「うん。よろしく」

結衣とは距離を置こうって思ってたくせに、口から出た言葉は真逆。

私はこの子と仲良くなりたいんだな…。

無闇に傷つきたくはないけれど…何となく結衣とはそうならないんじゃないかとの予感があった。
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