最先端クローン技術

「成る程…16年前にそんなことが…」


頷いた少女の顔は、芽衣里と瓜二つであった。


「木地の写真だ。」

差し出された写真に

少女は凍りつく。

その顔は自分と似すぎている。


「…圭(ケイ)君ももう16だ。教えるよ。」

吹雪は羽織っていた

白衣を無造作に机に投げた。


「木地芽衣里は生きたいと望んだ。それをオレは叶えた。それだけのことだ。」


圭の視線の先に座っていた奏は呟いた。


まるで。

自分の成果を完結に述べるように。


「でも…殺したんでしょ?」


自然と声の荒くなる圭を見つめる奏。


「殺したよ…?生物学的にはね。」


吹雪は視線をそらし

呟くように言った。


「クローン技術。」


何の前触れもない。

だが奏ははっきりと言った。



「クローン…?」

聞き返した圭の顔が青白い。


「木地芽衣里は永遠に生き続ける。科学的に…な。」


奏は微笑を浮かべ、

呆然と立ち尽くした圭を見た。


「そんなこと…」

か細く呟く圭の言葉に 絶望が映る。


「許されないよ。遺伝子操作なんて医者として。でも未来は…」


吹雪は奏を責めるかの様に見た。

「木地芽衣里の遺伝子を操作し、お前を作った。オリジナルの存在価値はそこで終わる。」


モルモットを見る科学者の様に圭を見つめる奏。


「私を16年間育てた理由は?赤の他人を何で?」


真剣な圭に対し罵倒に値する笑みを返した奏。

「16年?お前俺達を何歳だと思ってるんだ?お前の生きた期間は僅か1ヶ月。木地芽衣里の遺伝子を操作し、人工受精させ、オレの開発した成長促進剤を使い、今のお前にするべく1ヶ月を費やした。人格も用意した。」




(お前のために。)

と続ける奏を見つめ、圭は混乱していた。

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