先生のお望みのまま

それは梅雨に入ったばかりの頃。
その日たまたま遅くなった私は、下校途中の茂みにミーミーなく仔猫が入ったダンボールを見つけた。

かわいそうに寒いのか、声もか細く震えていた。とりあえず鞄からタオルを出して猫にかけ、濡れないよう茂みに戻し、近くのコンビニで牛乳とカップ麺を買ってきた。
カップ麺の中身と蓋をコンビニ袋にあけ、牛乳を注いで仔猫に飲ませた。
でも私にはそれが精一杯。
うちは動物禁止のマンションだし、ママは猫が苦手だ。どうしようもなくて、牛乳を飲み終えた猫に濡れないように傘をさしかけると
「ごめんね。うちは飼えないんだ。ごめんね。」


泣きながらその場を後にした。

< 38 / 117 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop