ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
元々紫堂は、ある一定の"特殊条件下"に集った烏合の衆だ。
それを俺の先代が、『紫堂』という名の元に1つに纏め、此の世に生き残る術を元老院に委ねた。
闇の採集者(コレクター)たる元老院は、先代の思惑通り興味を示した。
庇護の代償に、紫堂の力を。
東京を支配する元老院に、更なる栄光を。
紫堂は、元々滅ぶべき宿命の人種。
それが元老院の名の元に『生』を約束された時から、
紫堂は元老院へ絶対的服従の運命を架せられた。
だけど。
誰が――
いいなりになるものか。
元老院に支配されるのではなく
俺が元老院を支配してやる。
紫堂の力を真に手に入れる為の
それが今ある一番の課題。
俺が俺で在るために、
紫堂の力は絶対的な必須条件だから。
とことん…利用してやる。
――芹霞ちゃあああん!!
そう――
8年前のあの時から
辿るべき俺の運命。
親父との対面は、親子というより上司と部下だ。
昔から俺は、親父が苦手だ。
嫌いという感情が沸くらいの、会話らしい会話をした覚えもない。
ただただ怒鳴っているばかりの、怖い…他人のような存在だった。
どうしてそんなに憤怒するのか、いつも判らなかった。
怯んで泣くだけの昔の俺は、
当然実の父の怒りを買い……
庇(かば)う病弱な母親と共に本家から追い出され、母親の実家に追いやられた。
事実上、親父に捨てられたんだ。
要らないと。