ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



「お前の…お得意のパターンだな」


櫂はにやりと笑うけれど。


「やだなあ。僕がしているのは、格闘ゲームの…隠された"裏奥義"発動の為だけだ。隠しモードを出す時だけだよ。

初期から、全ての数値をMAXをさせることは簡単だけれど、そんなことをしたら、ゲームとしての面白味がないじゃないか。それに僕は、様々な数値を上げていくような、時間を要する育成系やRPG系はあまり好きじゃない」


育てたいのは…現実世界の芹霞の心だけ。


…など言ったら、櫂はどんな反応をするのだろう。


そう思いながら、僕は誤魔化すように笑った。


「やはり、必要なのは…改変プログラムの方だった」


漆黒の瞳が、細められる。


「血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)化させるには発動条件がある。

1つ目は芹霞……弥生ちゃんが池袋で買ったという薔薇の花の香水を体内に取り入れること」

 
「薔薇の花の芳香って……芹霞が血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)から匂うって言ってたアレか? 俺には無臭の?」


「そう。だけど薔薇の匂いであれば何でもいいってわけじゃない。必要なのは…芹霞が池袋で買い求めたという、"アリス"という名の香水」


「"アリス"……」


「そう、奇(く)しくもね。更に言えば、店の名前も"アリス"」


「あっちもこっちも"アリス"ばかりだな。その香水店は裏が取れたのか?」


僕は頭を振った。


「桜に、池袋の病院帰りに、行かせてみたけれど…店は閉鎖されているらしい。まあ…殺戮の舞台になったからね。

ネットからも一切、情報が出てこない」


「出てこない?」


僕は頷いた。

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