ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
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『僕の婚約者の、神崎芹霞さんです』



藤姫が示すテレビの中で、

得意げな顔つきの御階堂が…

堂々と、ふざけたことを発表した時。



その瞬間――


「!!!!!」


驚愕を通り越して、怒りの沸点に達する俺。



芹霞は…俺のものだ!!!

勝手に…触れるな!!!!


全身の血が逆流しそうな程、俺は激昂していた。


綺麗な…綺麗な芹霞。


磨けば輝く原石のまま…眠り続けてきたはずの俺の姫が、あんな男如きに目覚めさせられたと思えば…吐き気がしてきた。


そして、こんな馬鹿げた強硬手段に出るとは想定していなかった、俺自身の認識の甘さを突き付けられて、ますます…心が荒れ狂った。


どうして俺は此処にいる!!!?

どうしていつも、芹霞の危険を守れない!!!?



俺は…俺は!!!!



――櫂。



玲が声をかけねば俺は恐らく――

篠山亜利栖――否、

藤姫の狙い通りになっていただろう。


俺達を呼んだのは、俺達の中の誰か彼かの暴走を愉しみ、紫堂排斥の機会を狙ったからに違いない。


初めから紫堂は…


俺は――


元老院の玩具だ。


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