ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
 

一体何が起きたのか、理解できない。


呼吸困難寸前だったあたしは、酸素を思い切り吸い込み、煌の感触が残るその唇を手で拭う。


煌は、あたしが触れたブレスレット――そう、緋狭姉から無理矢理嵌められたブレスレットを右手で押さえ、声を上げてのたうち回っていた。


痛いのか苦しいのか。


さすがのあたしも不安になり、煌に近寄ると、



「遅すぎんだよ、

もっと早くさっさときっぱり拒めよ」



陽斗に後ろから抱きつかれ、首筋に顔を埋められた。


見れば桜ちゃんは放心状態で。


「気付薬の効果だ。黙ってれば回復する」

「……やっぱ医者なんじゃ……」


首元のくすぐったさを我慢して訊けば、


「違うッ!! 紅皇から渡された。

暴走するあいつに呑ませろと」


見なくても判るなんて、紅皇って凄い人だ。


しかし…。


「陽斗、重い」

「うるせえよ、黙れよ芹霞ちゃん。見せつけられた俺の身にもなれよ。うっかりあいつを殺しそうになったじゃねえか」


「み、見せつけるって……あたし必死で……」

「ふうん。必死でディープか。しかも、もっと進んだよな?」

「!!!」


見られてたのか!!?


「俺ともしてみる?」

「しません!!!!」


本気とも冗談とも思えない陽斗の言葉に、あたしが思わず大声で拒絶した時、


「あ……れ、芹霞? 陽斗……って、てめえ、芹霞から離れろよッッ!!」


真っ赤な顔をして、

煌があたしと陽斗を引きはがした。

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