ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



「なあ、緋狭姉。

何で玲の守護石操れるんだ?」


煌が訊いた。


「守護石の使い方を歴代の紫堂と、警護団に教えたのは私だ。私が扱えなくして、どう教えられるというのだ。こんなもの、紫堂の力なくとも修練で扱える。現にお前だって使えているだろう?」


振り返りもせず、紅皇は言った。


「だがな、扱えない守護石が1つある」


紅皇はすくっと立ち上がり、こちらを向いた。



「それは――


血染め石(ブラッドストーン)。


……坊の守護石だ」



私は目を細めた。


「闇を支配出来る血染め石。主である坊の潜在能力は凄まじかった。生誕時に力分配させる紫堂の因習に則(のっと)るも、それでも尚当主の力を凌駕する事実を恐れた当主は、守護石を2つにした。

1つは因習通り坊へ。そして1つは当主から……元老院へ。

それが全ての発端だ」


そして紅皇は艶然と笑い、後方を振り返る。



「懐かしかろう、

なあ――坊?」



紅皇の後ろには――



「薄れた記憶です」



櫂様が立っていた。


< 785 / 974 >

この作品をシェア

pagetop