ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



――あたしは待つだけの女じゃない。


確かに櫂ははっきりと手出しはしなかったんだろうけど、


それでもお前…

自分から櫂の元に突っ走るんだもんな。


迷い無い、その強い瞳で。



なあ。


少しでも、俺のこと…思い浮かべてくれたかな。

少しでも、俺とのことを心に刻んでくれてたかな。



――ねえ、煌。



やべえよな。


俺、こんなに弱かったっけ。



やべえよ…。

俺、こんなに芹霞が好きだったっけ。



駄目だ。



俺――…

全然お前を諦めきれねえ。


たまらなく…愛しくて、

たまらなくお前が欲しい。



お前が…好きだ。



だから行く。


お前と共に…在る為に。


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